土地の共有名義は慎重に

設立から今年で14年を迎えました。
お陰様で最近では相続から付随するご相談も増えています。

私見ではありますが、兄弟の土地の共有名義での有効活用の計画は、今まであまりうまく進行しないという認識でいます。

最初に断っておきますが、必ずしも兄弟での共有名義が失敗するという事ではなく、うまく計画が進行しない、という事です。

当然、兄弟の仲がうまくいっていて、コミュニケーションも円滑で紛争など縁もないという方々は気を悪くしないで頂きたいと思います。

▼相続対策をしなければならないある家の場合

それでは、ある相続対策をしなければいけない家族で考えてみましょう。

被相続人がお亡くなりになり、50坪の土地を相続した兄弟がいました。 土地の名義は兄弟の共有にしました。

ある時、長男のところへ飛び込み営業で来たハウスメーカーの営業マンから、
「相続した現在駐車場として貸している土地にアパートを建てて資産の有効活用をしませんか?」
という提案を受けました。
「駐車場にしているよりもアパートを建てることによって、税金などの優遇も受けられます。
入居者からの家賃でローンの返済も可能です。」等々。

この提案に、長男は自身が被相続人になる時のことも考え、一度どのくらい のスケールメリットがあるか知りたいので、収支などの提案を出してもらうことにしました。

すると、立地もいいことからアパートを建てることによるメリットがかなりある事がわかったのです。
そこで、共有名義である弟にその提案書を見せてみると、
「借金してまで 建てるなんて」
と思いもよらない意見が返ってきました。

兄は提案書のメリット・デメリットを何度も弟へ説明しましたが、弟は借金をする事にかなりの抵抗がありました。

弟から
「そんなにアパートを建てたければ、自分の分の土地を買い取って建ててくれ」
という提案もありましたが、兄にはその現金はありません。

「では土地を分けてしまおう」という案も出ましたが、50坪という広さでは分ける(分筆する)ことで土地の評価は下がりますし、アパート建設も難しくなります。

話し合いは平行線のまま、やがて兄弟仲も微妙になっていきました。

▼相続が「争続」にならない為の方法とは?

不動産の有効活用には、当然ですが所有している土地や建物を担保として銀行から資金を借り入れます。
その借り入れに対して、共有である兄弟のいずれかが反対をしたり、その事業に対して自分の都合のいいように解釈をしてしまいます。
全員がそうだとは限りませんが、よくある話です。

ローンを組むリスクは敬遠し、相続が発生した場合や有効活用などの時に、自分の懐具合だけを主張する、という事もあります。

借金をするのはいやだが、貰えるお金は多く欲しい。すると自分の都合のいい話ばかり聞き入れ、相談するにも都合のいい話をそのまま主張するので、結局話がまとまらず先に進めません。

正に読んで字のごとく「争続」です。

将来、相続税対策を考えなければならない方は、まず相続というものに対しての方向性を明確に定める事をおすすめします。

方向性とは、被相続人がお亡くなりになった後に、残された相続人が

  1. 相続税を預貯金などで支払う方向
  2. 生前中から対策をし、極力相続税を支払わない方向

の2通りに分かれます。
後者の場合、遺言書として公的に証明できるようにしておくことが後々もめないポイントです。
特に相続後に手にした土地の名義を兄弟の共有にすることは注意して頂きたいと思います。

相続対策では、仮に守ってリスク(=ローン)を回避しても(前者の相続税を預貯金で支払う方向)相続人には同じようにリスク(=相続税の支払)は生じます。

次回は、このような「争続」がおきないように未然に防ぐ方法について、別の角度からご説明したいと思います。