賃貸経営に潜む「万が一」のリスク
アパートやマンションの賃貸経営において、避けて通れないのが入居者の高齢化と「孤独死」のリスクです。
先日、弊社が管理する物件で、一人暮らしの60代入居者様が病死(自然死)されるという事態が発生しました。
幸いにも発見が早く特殊清掃は不要でしたが、賃貸経営における「万が一」への備えが、いかに重要であるかを改めて痛感する事例となりました。
孤独死の発見と初期対応のポイント
今回の事例では、連絡が取れないことを不審に思ったご家族が勤務先に連絡し、警察・消防と共に訪問したことで、お亡くなりになって18時間後に発見されました。
ご遺体搬出後の室内は汚損がなく、消防隊の進入時に割れた窓ガラスの補強のみで済む状態でした。
しかし、ここからが本当の「賃貸管理の難しさ」の始まりだったのです。
「相続放棄」という予期せぬ壁
当初はご家族が解約手続きを進める予定でしたが、2ヶ月後に「相続放棄をするため解約ができない」との連絡が入りました。入居者様に借金があったことが原因です。
相続人が全員相続放棄をすると、室内の残置物を大家さん側で勝手に処分できなくなります。
一歩間違えれば、長期間にわたり家賃収入が途絶え、部屋も使えない「塩漬け状態」に陥るリスクがありました。
家賃保証会社の「代位弁済」と頼れる審査
ここで大きな力を発揮したのが、入居時に加入していた「家賃保証会社」です。
保証会社とは、入居者が家賃を滞納した際に家主へ代わりに家賃を支払う(代位弁済する)会社です。
入居者は契約時に審査を受け、初回に月額の50〜100%、更新時に年1万円程度の保証料を自己負担して加入します。
今回の事態でも、この保証会社が大きな盾となってくれました。
滞納から明け渡し訴訟までのプロセス
お亡くなりになって3ヶ月後、保証会社から連絡があり、相続放棄の意向を伝えたところ、心強い回答が得られました。
保証会社が「滞納扱い」として少額訴訟などの手続きをすべて引き受け、48ヶ月分の賃料等を保証してくれることになったのです。
半年後には委託弁護士から書類が届き、13ヶ月後には無事に明け渡しが成立して解約日が確定しました。
火災保険の限界と、保証会社による原状回復
なお、加入していた火災保険に問い合わせましたが、「自宅内での死亡」による損害は保障対象外との回答でした。
しかし、今回の家賃保証プランには「原状回復費用」の保証も組み込まれていました。
喫煙者だった入居者様のヤニ清掃費、エアコン洗浄費、退室室内清掃費が保証会社から支払われ、預かっていた敷金を差し引く形でスムーズに精算が完了しました。
告知義務の判断とスムーズな再募集
退室クリーニングの際、清掃業者によるチェックでも汚損や臭気などは一切確認されませんでした。
そのため、国交省のガイドラインに基づき「事故物件(告知義務あり)」としての取り扱いは不要と判断し、募集を開始しました。
結果として、家主様の費用負担は必要最低限に抑えられ、新しい入居者様もスムーズに決定させることができました。
万全な賃貸経営を支えるパートナー選び
今回は特殊清掃が不要でしたが、もし必要だった場合、保証会社のプランによっては対象外となるケースもあります。
そのため弊社では、家主様に「孤独死保険」への個別加入も併せておすすめしています。
家賃保証会社の確実な選定と適切な保険の組み合わせこそが、大切な資産と安定した賃貸経営を守る最大の鍵となります。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。