アパ・マン経営の盲点とは?

以前に「資産分析の重要性」について解説させていただきました。

「節税対策」「相続税対策」とのうたい文句で不動産を購入してしまう前に、
◇資産がどれくらいあり、
◇税金としていくら掛かるのか
◇そのための対策はどういったものが必要か
を知ることが重要ですとお伝えしました。

そこで今回は相続対策と資産運用についてお話させていただきます。

インターネットで「相続対策」と検索すると、続いて
「不動産購入」
「マンション購入」
と、自動的に出てきます。
この単語の組み合わせで検索している方が多くいらっしゃるという事ですね。

ではアパート・マンションを購入・建築したら、相続の問題はなくなるのでしょうか?

▼アパマン経営の目的は?

アパ・マン経営をする、または現在している「目的」は何でしょうか。
あるサイトの調査では以下のような結果がありました。

賃貸アパート経営をしているオーナーがアパート経営をはじめたきっかけ
(1)副業として始めた:37%
(2)税金対策として始めた:34%
(3)資金的なメリットがあった:21%
(4)将来の年金として:8%

参考:『アパート経営の成功率は70%!現役オーナーの生の声を
徹底調査 | 不動産のいろは』



(2)の税金対策の中には、相続などで土地を所有したための税金対策が多く含まれるそうです。
まだまだ相続対策としか捉えていない大家さんが多いことは非常に危険なことです。
では何故、相続対策としてアパ・マン経営を営むことが危険なのでしょうか。

▼相続対策と資産運用は全くの別物

それは、相続対策と資産運用とを一緒にしてしまうからです。
本来、相続対策と資産運用は、切り離して考えるべきものです。

Aさんを例としてみましょう。

〇●〇●〇
Aさん
相続財産 5億円
お子様 2人(法定相続人 兄Bさん、弟Cさん)
配偶者 なし
〇●〇●〇

この相続財産を圧縮するための対策として、Aさんは銀行から借金をして賃貸マンションを建築しました。
その結果、Aさんの相続財産は3億円になりました。

Aさんがお亡くなりになったときの課税対象額は、
基礎控除4200万円(基礎控除3000万円+法定相続人一人当たり
600万円×2人)を指し引いた
2億5800万円 となります。

相続の際には、この課税相続財産2億5800万円に対して相続税がかかります。
相続税の支払総額は
相続財産 5億円の場合…1億5210万円
     (兄Bさん、弟Cさん 各7605万円の納税)
相続財産 3億円の場合…6920万円
     (兄Bさん、弟Cさん 各3460万円の納税)

と、賃貸マンション建築で1億円近く圧縮は出来ましたが、納税資金対策として6920万円の現金が必要になります。

もし、Aさんの所有する資産が不動産のみで金融資産が無い場合、この納税資金を調達する必要があります。

例えば、
「土地を切り売りする」
「土地を担保に納税資金を銀行から借り入れる」
「相続税の分割払い(延納)をする」
「不動産を物納する」
など資産を減らすことになります。

このように相続対策をしても資産を増やすことにはならないのです。
建築した賃貸マンションを「運用」することが相続対策後の「目的」です。

資産を守る運用をするためには「攻めの姿勢で資産を増やすノウハウを身につけること」

相続対策で購入した賃貸マンションを長期的視野で運用し、今後の資産形成につなげていく。
これがとても重要になるのです。

▼(余談)生命保険の活用

余談ですが、相続税の納税資金対策や資産を法定相続人で分割する方法として生命保険を活用する方法があります。

●生命保険金で納税資金を確保する。
●生命保険金には法定相続人1人あたり500万円の非課税枠がある。
→妻1人、子2人なら500万円×3人=1500万円が非課税

生命保険を活用した相続対策のメリットは

(1)生命保険は受取人固有財産のため、原則として遺産分割協議の対象外。
(2)財産分割を被相続人が生前に調整できる。
(3)相続を放棄しても受け取ることができる。

などがあります。

例えばAさんの場合、3億円のうち一部を現金化し、生命保険に加入して非課税枠を利用し納税資金を確保することも可能です。

また、
兄Bさん→実家の土地・建物を相続する
次男Cさん→金融資産を相続する
      Aさんが加入した生命保険の保険金を遺産相続分として受け取る
というように、生前にご家族で相談し財産分割を調整することも可能です。

この場合も、資産分析表を作成して、しっかりシミュレーション
をすることが大切です。

◇ここがポイント◇
相続対策だけでは資産は増えない。
資産は運用=増やす発想がなければ減ってしまう。